人材確保の方法

建設業界において、人手不足は深刻な問題となっています。当業界で働いている方にとっては、人手不足の解消は喫緊の課題と言えるでしょう。解消のためには、現状を踏まえた解決策を実行する必要があります。この記事では、建設業界の人手不足の現状や原因、解決するために出来ること、そして今後の課題について紹介します。

人手不足の現状と原因

人手不足の建設業界は、どのような現状に置かれているのでしょうか。そして、原因は一体何なのか、以下で紹介します。

人手不足が顕著

厚生労働省の「一般職号紹介状況(令和5年1月)」によると、様々な業界の中でも特に、建設業界の有効求人倍率が高いです。建設・採掘では5.37倍、建築・土木・技術測量者では5.99倍となっています。有効求人倍率が高ければ高い程、人手不足であることを示しています。全体の平均が1.29倍であることも踏まえると、建設業界は非常に人手不足であることが分かります。

人手不足になることによって、作業が遅れたり、品質が下がったり、労働者の負担が増えるといった問題も生じます。十分な人材を確保できないまま、案件を受注するということも決して珍しくありません。

また、高齢化も深刻な問題です。国土交通省の「最近の建設業を巡る状況について【報告】」によると、建設業界の就業者の年齢割合は、55歳以上が36.0%、29歳以下が11.8%となっています。全ての産業の年齢割合は、55歳以上が31.0%、29歳以下が16.6%となっています。他の産業と比較すると、建設業界の高齢化が顕著であることが分かります。

需要は増えている

人手不足が進む一方で、建設業界の需要は増えています。2021年の東京オリンピック・パラリンピックの時は、新国立競技場や有明アリーナが施工された他、既存の競技場の改修も行われました。2025年には「大阪・関西万博」、2027年には「リニア中央新幹線」が開業される予定であり、大規模な建設工事が現在進行形で行われています。高度成長期や、バブル期に建てられた建物などが老朽化することで、維持管理や再建のために必要とされるケースもあります。

需要が増えているからこそ、人手不足の解消は建設業界にとって差し迫った課題です。慢性的な人で不足になると、前述したように、人材の確保が不十分なまま受注ということになってしまいます。

人手不足の原因

建設業界の人手不足における現状について見てきましたが、原因は一体何なのでしょうか。考えられる原因を以下に紹介します。

離職における対策が不十分

新入社員が入ってきても、すぐに辞めてしまうことは建設業界ではよくあることです。他の産業と比較しても、離職率は高い傾向にあります。理由としては、体力面や労働時間の長さ、給料の安さや休日の少なさが挙げられます。しかし、理由が分かっていながらも十分な対策が取れていないのが実情です。

1日の労働時間が長い

他の業界と比較すると、労働時間が長くなる傾向にあります。慢性的な人手不足のため、時間に余裕が無いことが多く、仕事に限界を感じて辞める人も少なくありません。2024年からは時間外労働の上限が定められるようになったため、建設業界においても労働時間の改善が求められます。

若年層からのイメージが良くない

建設業界の就業者の年齢割合は、29歳以下が約11%となっており、他の業界に比べると低い数値になっています。若者からは建設業は「きつい、汚い、危険」という「3K」のイメージを持つ人が多い傾向にあります。そういったイメージを払拭することが、課題と言えるでしょう。

人手不足を解消するために

人手不足の現状と原因を紹介して来ましたが、解消のためには一体何をするべきなのでしょうか。

オウンドメディアやSNSを活用する

建設業界は前述した3Kのように、マイナスなイメージを持たれることも度々あります。そういったイメージを取り除くために、自社の公式サイトといったオウンドメディアや、SNSなどで情報発信をしていくことが大切です。スマートフォンで情報収集するのが当たり前になった時代、求人情報も例外ではありません。インターネット上の情報から就職活動を行う人も多いので、人材確保につなげるために有効と言えます。

若手社員に対する処遇を改善する

若手の離職が目立つ建設業界ですが、給与を改善することで離職を防ぐことが期待出来ます。重労働であるにも関わらず。その労働に見合った給与を下回る状態が続けば、離職を検討されるのも仕方の無いことと言えます。給与の他にも、勤務時間や教育体制などを改善することで、若手にとって働きやすく、居心地の良い環境を作ることが大切です。

アナログからITへ移行する

様々な業種でIT化が進んでいますが、建設業界においては今一つ進んでいないのが現状です。しかしいきなり「IT化する」と言っても、社内が混乱してしまいます。そのため事前に従業員に対して、コストの削減や時間の短縮になるといったメリットを、しっかり伝えておきましょう。スマートフォンやタブレットを利用して工程や図面を共有できるようになると、作業効率が上がるので非常に便利です。ITツールとして利用するものは、管理者だけでなく従業員も使えるように、あまり複雑では無い物を使うと良いでしょう。

行政の取り組みを活用する

人材確保のために、国土交通省と厚生労働省が連携して様々な取り組みを行っています。取り組みの一つとして助成金があり、種類としては「トライアル雇用助成金」「人材開発支援助成金」「人材確保等支援助成金」の3つがあります。

資格取得支援制度を活用する

仕事に必要な資格や免許を取得するために会社がサポートしてくれる制度を、資格取得支援制度と言います。講習や試験を個人で受ける場合は費用がかかりますが、この制度では費用を会社が負担してくれます。有資格者の従業員が増えれば、生産性や作業効率が上がること間違いありません。

今後の課題

建設業界か抱える今後の課題とは、一体何なのでしょうか。

働きやすい環境作り

社内での人間関係や社内制度、安全管理といった点が働きやすさに関わってくると言えます。

社内での人間関係が良好であれば、仕事は勿論のことプライベートでも良い効果を得られます。悩みを共有したり、困っている人がいたら助けたりすることで、お互いを尊重し、気遣う気持ちが大切です。

人事制度の整備や福利厚生の充実など、社内制度を整備することで、改善点を見つけることが出来るので、会社の成長に繋げることも可能です。

建設業界においては、安全管理も欠かせないポイントです。労働者の安全を確保し、リスクを極力排除して作業環境の向上に努めることが大切です。全ての現場に共通するリスクもあれば、現場ごとに特有のリスクもあるため、様々なケースに応じて安全管理をすることが重要です。

人材育成

建設業においては、技術やリーダーシップ能力に優れ、将来的に現場を指揮するようなリーダーとなる人材を育成することが非常に重要です。技術、安全に関する知識、プロジェクト管理、コンプライアンス等の教育プログラムを用意して、必要な能力をカバーできるような工夫が必要です。

まとめ

建設業界の人手不足は深刻な状況ですが、対策には様々な選択肢があります。対策には人を呼び込むタイプ、人の流出を防ぐタイプ、人材不足でも対応で出来るように工夫するタイプの3種類があるので、自社の状況に合わせた対策を選ぶことが大切です。人材不足に悩む建設業界の方は、この記事をぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。